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看護師ぎんたのNURSE HACK BLOG

塩分チェックシートだけ!あることを知っておくだけで減塩指導が効果的になる!

ぎんた(@NSginta)です。

減塩指導をする際に、塩分チェックシートを使うことが有用であることは前回説明しました。

さて、今回は患者さんにこの塩分チェックシートを用いる際に知っておくと説得力がめちゃくちゃ上がる研究発表について書いていきます。2013年の日本高血圧学会のものですが、すごくいい資料なので僕が代わりにかみ砕いて説明していきます。

塩分チェックシートの限界

前回説明した塩分チェックシートは、食塩の摂取状況を自覚するためのツールです。この点数が高いからと言って、実際に塩分を何グラムとっているかまではわかりません。あくまでも予測として塩分摂取少なめか、普通か、多めか、とり過ぎかの4項目くらいで分けることしかできません。

引用元:https://www.ns.yawata-mhp.or.jp/salt_check/

これを患者に行っても、6グラム以下を目標として自分が多めに塩分を取っているのはわかっても、それが7グラムなのか、9グラムなのか、12グラムなのか。どのくらい過剰に塩分を摂取しているかはわかりません。

随時尿による食塩排泄量評価

随時尿を用いた推定1日食塩排泄量を測定する検査があります。

推定ではありますが、尿からの塩分濃度を見てどのくらい食塩を取っているかの測定ができます。(興味がある方はこの検査をすれば自分の食塩摂取状況がわかります。)

しかし、患者さんがその検査を望めばいいですが、費用がかかることなので勧めることはできても簡単には実施できません。

塩分チェックシートと、随時尿食塩排泄量評価の併用。

塩分チェックシートとの弱点と、随時尿食塩排泄量評価のデメリットを掛け合わせ、データとして参考までに患者へ紹介すれば減塩指導の説得力がめちゃくちゃ上がります。

詳しくはこちらの記事を見てもらうとよいのですが、このブログを見にきてくれたズルしたいNsの為にすごくかみ砕いて説明していきますね。

 

患者の対象は、九州医療センター高血圧内科に通院中で、降圧薬を服用している高血圧患者258例(男性123例、女性135例、平均年齢66.3歳)。

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対象の患者に以下の2項目を行います。

①塩分チェックシートの記入

②随時尿食塩排泄量評価

その結果がこちら↓

塩分チェックシートの平均点数 男性:12.3点 女性:9.4点
推定食塩排泄量の平均 男性:9.2g/日 女性:8.7g/日

併用の平均点数から見えてくること

まず、対象が高血圧の治療をしている人。というのが肝です。

おそらく1回でも減塩の指導を受けてことがある方が対象なので、低めの点数、少なめの塩分量が結果として出て当然と思います。

そのうえで結果を見てみると、塩分チェックシートの平均点は男女ともに2番目に良い9~13点で収まっています。

しかし、塩分摂取量の平均は男性9.2g、女性8.7gと、目標の6gには遠く及びません。

2010年の国民健康・栄養調査によると、日本人成人の食塩摂取量は平均10.6g/日(男性11.4g/日、女性9.8g/日)。[/st-point]

1つの目安として、塩分チェックシートの点数は0~8点で自己評価できなければ、目標値にいくのは難しいと考えられます。9点~13点でも改善の余地あり。14点以上はすぐにでも減塩をすべきと考えてよいでしょう。

まとめ

いかがだったでしょうか?

塩分チェックシート単体でも上記研究結果を用いることで、より効果的な減塩指導ができます。その減塩指導のおかげで降圧できれば患者は飲みたくない降圧剤の量を減らすことができ、結果として患者の減塩を続けるモチベーションになります。データを駆使して効果的な患者指導を行いましょう。

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